乳がんの発症リスクとなる生活習慣などの因子は、いくつかの研究の中で述べられています。がんの発生は細胞のエラーですが、乳がんの場合、女性ホルモンであるエストロゲンの影響が大きいとされています。
エストロゲンは、月経周期や乳腺の発達のほか、皮膚や骨の形成などにも作用する、女性の身体づくりに大切なホルモンです。しかし、乳腺の発達の際に細胞に刺激が与えられることで、細胞のエラー発生の確率が高くなるとも考えられています。
また、エストロゲンが過剰に分泌されると、冷えや月経不順などを引き起こす可能性もあります。しかし、人間の体は毎日の食事と生活習慣の積み重ねでできています。改善すべき生活習慣などを知ることは、がんの治療中や、がんの予防を考えている女性のどちらにも有益な情報です。
それでは、乳がんの予防と対策にはどのようなものがあるのでしょうか?
この記事では、乳がんを予防する6つのポイントについて徹底解説いたします。
目次
乳がんの発生には、女性ホルモンのエストロゲンが深く関わっていることが知られています。エストロゲンを含む経口避妊薬の使用、閉経後の長期のホルモン補充療法は、乳がんを発生するリスクを高めるリスクがあります。
それ以外にも、飲酒や閉経後の肥満、運動不足などの生活習慣や、糖尿病の既往なども乳がんを発生するリスクを高めると考えられています。乳がん増加の背景には、食生活の欧米化や、女性のライフスタイルの変化があると考えられています。
乳がんのリスク因子が当てはまるからといって必ず乳がんになるわけではありませんが、生活習慣の中で、乳がんの発症が明らかな原因を避けることが、乳がんの予防につながります。
健康的な生活を送ることが乳がんの予防にもなっているので、その詳細を見ていきましょう。
肥満は、BMIの値が高いほど乳がんのリスクが高まるという研究結果があります。特に閉経後乳がんでは、その傾向が顕著です。BMIと乳がんの関連性が高くなる要因の一つとして、脂肪組織がエストロゲンの主な供給源となるメカニズムが挙げられます。
肥満は生活習慣病のもとなので、ダイエットするなど少しずつ改善する工夫をしましょう。
運動習慣は、乳がんの予防要因の一つで、肥満対策にもなります。運動によって免疫機能が上がる、エストロゲンの濃度が下がるなどの効果が証明されており、乳がん予防につながります。
また、実際に運動習慣がある女性の乳がん発症や再発が少ないという研究結果も発表されています。運動による直接的な効果は体脂肪の低下による乳がん発症・再発の予防、間接的な効果としては乳がん発症後のQOLの向上などが明らかになっています。
喫煙は乳がんのリスクを高める可能性があると実証されています。非喫煙者の1.7倍リスクが高まるという研究結果もあります。煙に含まれる発がん物質や、喫煙による代謝物の乳房組織での形成などが要因です。
禁煙者が増えている昨今で、乳がんのリスクが気になった女性は今から禁煙を始めましょう。
飲酒は乳がんの発症リスクを高めるという研究結果があります。欧米では飲酒のリスクは「確実」とされていますが、日本においてはまだ研究結果が不十分なようです。しかし、飲酒量が多ければリスクが高まるということは間違いありません。
普段から日常的に飲酒している女性は、乳がん対策のためにも飲み過ぎには注意しましょう。
肉類や加工肉・乳製品などを多く摂る欧米型の食生活は、乳がん発症のリスクを高めることが明らかになっています。一方、乳がんの予防につながる食材は牛乳などの乳製品です。
乳製品に含まれるビタミンDやカルシウムが乳がん発症リスクを減らす可能性があるとされています。しかし、脂肪含有量の多い乳製品の過剰摂取は、乳がん発症のリスクを高めるという報告もあります。日々、栄養バランスの良い食生活を心がけましょう。
ストレスと乳がんの関係性は諸説あるようです。ストレスが乳がん発症の直接の原因になるかどうかは研究結果が分かれ、まだ結論が出ていません。
しかし、ストレスに関連する自律神経が乳がんの組織内に入り込み、がんの進行や予後に影響を与えるという研究結果もあります。乳がんに対して悩みすぎるあまり、ストレスを抱えてしまうというようでは本末転倒なので、気になった女性はがん検診によって安心感を得るようにしましょう。
乳がんは、遺伝が関係していることも明らかになっています。乳がんに罹患した人のうち、約10%が「遺伝性乳がん」とされています。家族などの血縁者に乳がん発症者がいる場合、発生のリスクが高まるといわれています。
また、遺伝性乳がんの半数以上を占めるのが「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)」で、特定の遺伝子に変異がみられるものです。この場合、乳がんだけでなく卵巣がんの発症リスクも高まります。
乳がんを早期発見、早期治療するためにも、乳がん検診を欠かさず受けましょう。
がん検診の目的は、がんを早期発見し、適切な治療を行うことで、がんによる死亡リスクを減少させることです。
ほとんどの市区町村では、検診費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担で検診を受けることができるので、特に40歳以上の女性は2年に1回は、乳がん検診を受けましょう。
検診の内容は以下の通りです。検査の結果が「要精密検査」となった場合は、必ず精密検査を受けましょう。
マンモグラフィ検査は、乳房のレントゲンを撮影し画像解析で乳がんを見つける方法です。乳房専用の機械を使い、上下・斜め方向からレントゲン写真を撮影します。マンモグラフィ検査では、乳がんの初期症状で見られる小さな石灰化やしこりを発見できます。
欧米ではマンモグラフィ検査を受ける女性が75~80%です。このため、乳がんの死亡率が低下しています。日本でも40歳以上の女性を対象に、マンモグラフィ検査の普及が進められています。
エコー検査は、超音波で乳房の異変を調べる方法です。乳房にセンサーを当て、反射波をモニターに映しながら乳房の断面映像を解析します。乳腺が発達している状態でもしこりが見つけやすく、小さなしこりを見つけるのも得意な検査です。
一方、がんではない良性のしこりも映し出すので、良性か悪性かを見分けることは難しく、石灰化した乳がんを見落としやすいなどのデメリットもあります。放射線被ばくの心配がなく、妊娠中でもできる検査です。
視診は、観察と触診で乳房のしこりや腫れ、乳頭からの分泌物などを見つける方法です。触診では、乳房からわきの下にかけて触ることで、しこりの有無や大きさ、硬さ、動きなどを調べます。
しこりがある程度大きくないとわからないというデメリットがありますが、マンモグラフィで見つけにくいがんが視触診で発見されることがあります。身体への負担は少なくセルフチェックもできるので、気になる女性はやってみましょう。
「乳がんの予防はセルフチェックできる?乳がんを予防するポイント6選」はいかがでしたか?
乳がんは早期発見によって完治できる病気です。だからこそ、日頃からのケアをこまめに行い、生活習慣にも気をつけた暮らしを心がけましょうね。
コメントを残す